斎藤一子は32歳にもなって、実家に引きこもり自堕落な生活を送っていた。出戻り中の妹と大ゲンカになり家を出た一子は、仕方なく100円ショップの深夜労働を始める。唯一の楽しみは、近くのジムで練習をする一人の中年ボクサー・狩野を見ること。ある日、狩野からデートに誘われた一子は初めてボクシングの試合を見る。それは狩野の引退試合だった。ボクシングの試合に強い羨望を抱いた一子は自らもボクシングを始める。一方、負けた狩野は自暴自棄になり、一子はそんな狩野を介抱するうちに体を重ねるようになり二人の生活が始まるが、すぐに狩野は帰ってこなくなる。悔しさと情けなさと怒りを静かにぶつける様に一子は、ボクシングにのめり込んでいく。そこに見出したのは、仄かだが、確かな希望だった。 負けっぱなしの人生から這い上がろうとする女と挫折を経験した男の、再生の物語。(C)2014 東映ビデオ