'批評家からは、ブレンデル、グールド、ルーベンスタインに匹敵するアーティストとして高く評価されている。若いころは、生ける伝説のルドルフ・ゼルキン、パブロ・カザルス、ベンジャミン・ブリテンとパートナーを組んだ。ウラディミール・ホロヴィッツは、先生であると同時に友人だった。今もマレイ・ペライアは今も変わらず独自の伝説を生み出し、コンサート・プラットフォームでもレコーディング・スタジオでも最も人気のピアニストとして活躍する。時には、右手を怪我した後遺症により演奏できないこともあったが、その人気が衰えることはなかった。このフィルムでは、世界級ピアニストが舞台裏で仕事をする様子を見ることができる貴重なものとなっている。 カメラには、ショパンのマズルカ、ホ長調のスケルツォ、シューマンの「Kinderszenen」(子供の情景)をゆっくりと丁寧に演奏する姿が捉えられている。また、スイスの避暑地、ロンドンのウエスト・エンドにある彼のテラスハウス、友人のための開いたプライベートコンサートで撮影されたものもある。 ペライアは、何週間、何ヶ月と費やして与えられた課題の部分部分を組み合わせて1つにまとめる方法を探求し続ける。熟練した精神分析医のように、傑作を生み出すために、それぞれの音の重要性を理解しようとひたむきに試み、幾重にもわたって意味を発見していく。「ある仕事に取りかかると、それが私の頭から離れることはない。私は曲とともに生きている。食事をしていても、眠っていても、読書をしていても、妻と話していても、曲は私の一部となる。」 とうとうワルシャワでのコンサートの日がやって来る。マレイ・ペライアは、ピアノの前に座り、演奏し始める。本番前に探求したすべての理論や分析を超越したパフォーマンスだ。ピアニストの深い洞察が反映された真の奇跡的な演奏が実現される。コンサートの後は、観客は口々に「この世のものとは思えない」素晴らしい演奏だったと賞賛する。'