夢を叶えることが、君を幸せにすることだと思ってた- 高校からの友人と立ち上げた劇団「おろか」で脚本家兼演出家を担う永田(山﨑)。しかし、その前衛的な作風は上演ごとに酷評され、劇団員たちも離れていき、劇団は解散状態になっていた。 そんなある日、永田は街で、偶然同じスニーカーを履いた沙希(松岡)と出会う。普段の永田からは考えられない積極さで沙希に話かける。 演劇のことだけを考えてきた永田と、女優になる夢を抱き上京、服飾の学校に通っている学生・沙希の恋はこうして始まった。 沙希は生きることに不器用な永田を「今までよく生きてこれたね」と笑い、自らの部屋に永田を迎え一緒に暮らし始める。 ふたりの部屋を沙希は「一番安全な場所だよ」と言い、永田の生活の世話だけでなく、舞台の衣装や小道具造りを手伝い、公私ともに永田を支えていく。 まっすぐに自分を信じ、自分の夢を応援してくれる沙希の存在に、永田はこれまでに感じたことのない安らぎを覚える。 一方で、同世代の劇団の活躍、ままならない自分の現状を目の前に、永田は自らの理想と現実の間で不安と葛藤を募らせていく。誰よりも大切に思っている存在のはずの沙希にも、時折辛く当たるようになった永田は、もっと創作に集中したいと一人で部屋を借り、夢を叶えるために演劇の世界へますますのめり込んでいく。 永田の真意を聞くことができず、バイトを続けながら永田を待ち続ける沙希。ある日、バイト先に沙希を自転車で迎えに行った永田は、沙希を自転車の後ろに乗せ、沙希と出会った頃、沙希のことを神様だと思ったと、堰を切ったように話しはじめる。「みんな幸せになれたらいいね。俺の才能が足りんからか。神様、後ろ乗ってますか-?」 沙希は、友達たちが結婚たりしていく中で、いつになっても大人にならない永田との関係に不安を感じ始め、酒に溺れるようになる。そんな沙希の気持ちに気付きながらも、自分のプライドが邪魔をして、沙希に対して素直になれない永田。二人の関係はすれ違い、沙希はついに田舎に帰る決断をする。一番会いたい人に会いにいく こんな当たり前のことがなんでできなかったんだろう-(C)2020「劇場」製作委員会