信州財界一の巨頭、犬神佐兵衛が莫大な財産と不吉な内容の遺言状を残し81歳の生涯を閉じた。犬神家の顧問弁護士・古館に預けられたその遺言状の内容を密かに知った古館の助手・若林は、私立探偵の金田一耕助に調査を依頼するが、金田一が那須に現れると同時に何者かに毒殺されてしまう。同じ頃、佐兵衛の長女・松子の息子であり戦争で生死不明となっていた佐清が復員してくるが、その顔は奇妙なゴムマスクに覆われていた…。遺言状の内容とは、佐兵衛の三人の孫、佐清・佐竹・佐智のいずれかと結婚することを条件に、犬神家の全財産を血縁者ではない野々宮珠代に譲るというものだった。その日から、犬神家の財産を象徴する三種の家宝、斧・琴・菊になぞらえた殺人事件が起こり始めるのだった。果たして犯人は誰か?仮面の男は本当に佐清なのか?