その色はどこへ去ったのか…1975年、アーカム。ジョナサン・デイビスは父親の失踪を知る。父親の足取りはドイツ、そして第二次世界大戦後に駐屯していたシュヴァーベンはフランコニアの森へと続く。森の奥深くで彼が遭遇したのは暗い過去であった。時を同じくして、宇宙より飛来した隕石がこの地に残した呪われし遺産を露わにする…。原作はクトゥルー神話の生みの親として知られるH・P・ラヴクラフトが、1927年に雑誌「AmazingStories」にて発表した小説『宇宙の彼方の色』。「映画史上、最もラヴクラフト=“原典”の魅力を忠実に描いた作品」という呼び声も高く、クトゥルー神話を愛するベトナム系ドイツ人のフアン・ヴ監督は“原典”を崇拝しつつも、ラヴクラフトが唱えた“宇宙的恐怖”をより拡大すべく、ベトナム戦争下の1975年を舞台に、原作のエピ ソードを回想する物語など、独自の解釈を盛り込んだ野心作である。